『海洋』陳建年
2006.02.03 Friday 20:33
2005年のベスト、とか言っておきながら全然感想書いてなかった_| ̄|○このアルバム自体が発売されたのは1999年。
チェン・ジェンニェン(陳建年)さんの本業は歌手ではなく警察官。小学三年生からギターを弾き始め、青年時代にはコンテストに出るなど音楽活動をしており、画家か歌手になりたかったようですが
家庭の経済事情で断念。台北の警察学校に入り警察官になります。
しかし趣味で創作活動を続け、80年代半ばには従兄弟達と組んだユニット「四弦合唱團」として活動し、またソロアルバム『藍藍的念珠』も発表しています。
彼の音楽がフォークというジャンルということもありますが、当時はまだ原住民歌手というのはメジャーではなかったのかもしれません。
1999年に発表したこの作品を制作するにあたって、建年さんは角頭音樂のディレクター鄭捷任や録音技師の曾志偉(Tero)と話し合い、台東の田舎の雰囲気を感じてもらおうと、録音機材を担いで台東の海、山、渓谷、部落を行き来したとか。
その苦労の甲斐あって、CDを再生し潮騒をバックに建年さん手作りのパンフルートの音色が流れ出すと、台東の風景が脳裏に浮かびます。
特に美声というわけではなく、感嘆するほど歌が巧いとは思いませんが、すごく素直で素敵な歌声です。
ちなみに去年来日していますが、生歌は一声で魂が持ってかれそうなぐらい素晴らしかったです。この人の歌はCDの為にあるんじゃない、Liveで一緒に楽しむためにあるんだ!と思いました。
建年さん自身も、ライナーノーツに「自分にとって音楽創作は友人と楽しむための最高のプレゼントだ」と書いています。
どの曲も好きですが、私が特に好きなのは「我們是同胞」。
この歌を初めて聴いたときは泣けました。
台湾を知れば知るほど、原住民と本省人と外省人の問題が見えない壁のように立ちふさがります。
誰かを差別したり、貶めたりする。そんなのが人間の本性だと思いたくないのに、ふとしたことで露呈する嫌悪と差別。
それを
先に住んでたって 後から住んだって 俺たちはここの住民と歌います。
俺たちは敵じゃない だから あなたも俺たちを尊重してください
俺たちにあなたは素晴らしいと思わせて
なんだか非常に単純でポジティブな言葉だけど、それを実行するのは難しくてみんな苦しんでる。それをこうして押しつけがましくなく歌にできるのは、原住民の単純思考(これは美点だと思います)のなせる業なんでしょう。
この曲を始め、多くの作詞を手がけている林志興さんは人類学者で國立臺灣史前文化博物館の学芸員だそうで、愛知県立大学月田尚美助教授は台湾原住民の音楽紹介 ポップ編 で
この人は本当にすごいです.と書いてらっしゃるけど、何がすごいんだろう…。酒量?
「故鄉普悠瑪」もサミンガ(紀曉君)版よりこちらの方が好き。
鳥の声をバックに、「あちゃー」とか言いながら弾き語りしてるんですが郷愁を感じます。
地図で見る距離はたいして離れていないのに、台東と台北は全くの別世界。流れる時間も、匂いも、空の色さえ違います。
台東旧駅と鯉魚山が遠ざかり、愛する故郷と引き離されるとき、涙が溢れる。そんなシーンが浮かんできます。
非常に地味ですけど、すごく良いアルバムです。
原住民に興味を持っている人には是非聴いていただきたい。そして東海岸を旅して欲しい。東海岸を体験してると、きっと聞こえ方も違うと思います。
夢遊さん@夢遊的日録には特にお勧めします。
2nd『大地』はバンドが入ってブルース調やカリビアンな音楽を表現しており、応用編という感じ。こちらは基礎編ですが、ギターとパンフルートそして合唱というシンプルな構成で、何度聞いても飽きが来ません。
絶対お勧め!!!
公式サイトによれば、まもなく3rdアルバム『東清村三號』が発売されるようです。詳細は角頭音樂での発表待ちかな?
過去関連記事:
アジア平和音楽祭NATIVE SPIRITS in 流山文化会館
アジア平和音楽祭NATIVE SPIRITS in 新宿Loft
チェン・ジェンネン/陳建年
『大地』陳建年
参照リンク:
光華:注目される先住民の歌声
陳建年と紀暁君
【日本人の足跡】(68)鳥居龍蔵(1870-1953)(6)
陳建年個人サイト:Pau-Dull.com 陳建年資訊網
レコード会社:角頭音樂










comments
東海岸には必ず行ってきます!
と言うか、今度の訪台は東海岸訪問と阿妹のイベントが主目的です。
陳建年の『大地』も欲しいなぁ。見つけられると良いですけど。
夏行ったら最高ですよ~~!台湾好きの日本人すべてにお勧めしたいです!
『大地』台湾だったらあると思いますよ。頑張って探してきてくださいね。