Biung(王宏恩)@TAM 4th

すっっっごく楽しかったです!!

アジア各国の優秀なアーティストを業界向けショーケースの形で紹介するTOKYO ASIA MUSIC MARKET
昨年のチャン・チェンユエ(張震嶽/アミスと漢族のダブル)に続いて、今年はビユン(Biung/王宏恩)の登場!!!!!!ってことで原住民マニアとしては期待しまくって行ってきました!

あ、もちろん世間様的には15年ぶりの来日となる元BEYONDのポール・ウォン(黃貫中)が目玉中の目玉なんでしょうけどね。

予想通りBiungの登場は三番目。
中央に椅子がセッティングされて、弾き語りスタイルで演るんだなというのがすぐ分かりました。ステージ上手にパーカッション、下手にギタリストがスタンバイして、Biung本人も登場。
これまで何度か見てきたTAMでは、日本でのステージということからか緊張しまくってる人が多かった中、出てきたときからニコニコしていてリラックスしている様子だったので「これはきっといいステージになるな」と思ったら、案の定素晴らしかったです。

始まる前は前方にいた熱心なファンと会話していたし、真ん中あたりからも「ずっと待ってたよ」と声がかかって、思ったよりBiung目当てのファンも多かったのかな?
前方にはブヌン語を話す人がいて、Biungもびっくりしていました。


ステージは台湾原住民の口琴(アイヌのムックリとほぼ同じ)から始まりました。
伸びやかな歌声が聞こえ、ブヌン語で何か話してから日本語で
「みなさん、こんばんは。私はBiung、台湾の原住民、ブヌン族です」
と自己紹介。「ハクシュ~~!」と客を煽る。
1曲目、2nd『王宏恩』から伝統民謡をアレンジした「獵前祭槍歌(古調改編)」。

2曲目の前に「あのーー、Scream、loud」と声出せ指示、そして「ハクシュー!」と手拍子の練習(笑)。「はい、イチバンイチバン」(台湾人は“すごい”の意で使う)とお褒めをいただき、そこからノリのいい「跌倒歌」。

MCでは仕込んできたと思われる日本語で「今日、ここで、歌えて、嬉しいです」と言っていました。
このとき水を飲んだのですが、先に指に水をつけて地面に二・三滴落とすのは神様に先に差し上げるという原住民の風習です。(お酒を飲むときなど必須)

つたない英語で「みんな、笑っていてください。あなた達が悲しい顔をすると僕の気持ちも沈みます(意訳)。(胸に手を当て日本語で)オモイ」と言ってから「寂寞的飛鼠」。
途中「口笛吹いて」と言われたのですが、そんなすぐに吹けないから!!!誰も吹く人がいなかったら「ここには誰もいない(笑)」と言ってました。

「ハイ、イマ(←ここまで日本語)ギタリストを紹介させてください。名前はジャーホン!彼は素晴らしいギタリストで、彼のフィンガースタイルは台湾・大陸で有名です。Verry スゴイ,but not カッコイイ.(笑)」
ちなみにフィンガースタイルギターって初めて知ったのですが、ギターの胴部分じゃなくてフレットボード部分で両手を使って演奏するんですね。ギター一本で伴奏と旋律を弾く超絶技巧でした。
もう   ( ゚д゚)ポカーン   ってなった。
Not only スゴイ, but also カッコイイだよ!!!
ルー・ジャーホン(廬家宏)さんはあとで調べたらフィンガースタイルギターで非常に有名なギタリストだそうです。
ここでは彼の曲「大海嘯」にBiungがブヌン語の語りを加えて披露。

その後「皆さんに次の曲にまつわるストーリーを紹介します」と通訳さん登場。
「次の曲は“月光”。この曲は全ての楽曲の中で一番思い入れのある曲です。」
「大学を出て仕事のために故郷を離れ台北に行くとき、祖母は『空にある月を贈るよ』と言いました。『どこにいても月が照らしてくれるように、お前がどこで何をしていてもどんな困難に出会っても、いつでも傍にいるよ』と」
「祖母は昨年亡くなりましたが、今でも空にある月を見上げると祖母をが近くにいるように感じられます」

「月光」にはブヌン語版(1st『獵人』収録)と国語版(3rd『走風的人』収録)がありますが、ブヌン語版で披露。
お祖母さんの正確な年齢は分かりませんが、おそらく日本語世代で民族の言葉と日本語は分かるでしょうけれど國語(北京語)は分からないでしょう。
Biungの1stアルバム『獵人』はお祖母さんにも分かるようにと全てブヌン語で歌われています。

それまではお客さんとコミュニケーションをとることに熱心だったBiungですが、この曲の最後では客席のずっとずっと後ろを見つめていました。
歌い終わると「この歌を歌うときは、いつも祖母を想います。彼女は僕にとって、僕の音楽、僕の全ての旋律にとって、とても重要な存在なのです」(ちょっと詰まる)「……でも祖母はいつも僕の傍にいると思っています。空に月があるように」と感慨深げに語りました
地下のライブハウスに月は照らさないけれど、きっとお祖母さんは観ていてくれたと思います。

昨年お祖母さんが亡くなられたとき、Biungはとても落ち込んだそうです。彼が天国のお祖母さんに捧げた曲「最美的祝福」(4th『戰舞』)に彼の気持ちがよく表れていると思います。


「OK!次の曲!!ブヌン族はみんな一緒に歌います。僕がこう歌ったら…♪I nata tu bunun~♪」
「♪oh hai ya~♪」とファン。
「えっ、なんで知ってるの?」
「当然知ってるよ~」
「じゃあ君たちはもっと大きな声で歌って」
と掛け合いも楽しい「在外工作的朋友」へ。
ブレイクでは「すばらしい、でも全員に歌って欲しい」と話して、後半突入。とても盛り上がってステージは終わりました。

「u ni nan(ブヌン語でありがとう)、u ni nan、謝謝」と去ろうとすると、ファンから「八部合唱(という楽曲がある)は?」と話しかけられ、「(笑)八部合唱?!次日本に来たときにね」と言いつつもbiungが「オーー」と最初の音を出すと家宏さん、パーカッションさん(名前分かりません)が「オーー」とハーモニーを奏でたので、さわりをちょっとだけやってくれました(笑)。
イイやつだ。

MCはほとんど英語。といってもあまり流暢ではないので逆に分かりやすかった。
たまに國語を喋りそうになって、頑張って英語で喋り直すところが「なるべく相手に解るような言葉で話す=コミュニケーションを意識してる」という彼の態度が分かって好感が持てました。
「新しいアルバムから演るかな?」と思っていたのですが、予想に反して1stと2ndから。そして貴重なお披露目の場でもあるのに、家宏さんに30分の持ち時間から1曲分与えてしまうというところにこの人の人間としての寛さが感じられました。

セットリスト
  1. 獵前祭槍歌(古調改編)(伝統民謡アレンジ/ブヌン語/2nd収録)
  2. 跌倒歌(ブヌン語/2nd収録)
  3. 寂寞的飛鼠(國語/2nd収録)
  4. 大海嘯(廬家宏演奏)
  5. 月光(ブヌン語/1st収録)
  6. 在外工作的朋友(ブヌン語/1st収録)


入場するときにBiungの経歴が日本語で書かれた紙が配られたのですが、近くにいた人の会話が聞こえました。
「なんでこの人だけチラシがあるの?」
「日本進出にやる気出してんじゃないの?」
そう言ってチラシを小さく小さく畳んでいるのが目に入りました。

“日本進出”の為だったら、関係者にCDと資料を配ったほうがお金の使い方としてよっぽど効果的だよ。
それにこのイベントに出演して日本進出を果たした台湾勢はいないってこと、分かってると思うよ。
彼は観客に自分のことを知って欲しい、楽しいひとときを分かち合いたいって思ってるだけだよ。


彼女達がライブの後にもう一度あの小さく畳んだチラシを広げて、「月光」の訳詞を観てくれたらいいんだけど。

Blog内関連記事:
07 4thTAMにビユン(Biung/王宏恩)出演!
『誰在山上唱歌』太平國小布農兒童合唱團

--------8<-------- キリトリ ---------8<---------
最初に出てきた中国・内モンゴル自治区のHAYAも素晴らしかったです。
馬頭琴の全勝さんも頑張って日本語話してたし、ゲストパーカッションの方も日本語ができるみたい。
でも一番注目だったのは“カッコイイの方の馬頭琴”希博さんだな(笑)。最初は太鼓、最後はエレキギターも弾いてて、いろんなことができるようです。あれがバンドの華だな。
あとゲストギタリストは元CORE OF SOULソン・ルイ(宋睿)さんでした。
音楽的には“癒し系”ワールドミュージック?と思ったら、最後プログレ風になってびっくりした(笑)。CD聴いてみたいな~~。

会場の80%くらいは阿Paul(黃貫中/公式サイト→paulwong.net)ファンだったと思うので、彼のステージについてはきっと熱心なファンの方がレポートしてくれると思います。

後日TOKYO ASIA MUSIC MARKETサイトにて一部ステージ動画が公開されると思うので、たまにチェックしてみるといいかもしれません。
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