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『中国語はおもしろい』新井一二三

中国語はおもしろい内容がとっ散らかっていて一貫性がないので読みにくい。
しかし「中国語に惚れて」とご本人がおっしゃってるだけあって、その熱は伝わってくる。

長いあとがきに書かれている著者の学習歴・放浪歴をまとめて本にしてくれた方が読みやすかったかもしれないと思ったが、そちらはすでに『中国中毒―チャイナ・ホリック』という書名で出版されているそうだ。

こういう“VIVA!中国(中国語)”本では、「中国(中国語)は素晴らしい!翻って日本(日本語)は…」的論調に流れるのが多くて、日本語大好きな私は読んでてうんざりすることが多いのだけど、著者は中国語以外に英語も操るということで、三者を比べているためそういう自己卑下感は薄まっていると思う。

ただしご自身の経験と知識を多岐に渡って羅列しているので、まとまりに欠ける。もう少しテーマを絞って書いた方が一冊の本としては読みやすいだろう。
たとえばこれが連載コラムやblogであれば大変面白く読めたと思うが、書籍としての出来はイマイチ。

そう思ったら、著者は台湾の新聞などに中国語でコラムを書いているそうな。
納得。
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『台湾・霧社に生きる』柳本通彦

この本は柳本氏が原住民関係で一番最初に書いた書籍だと思うが、若干文体や対象への近付き方にブレがあるように感じる。

タイトル通り、霧社周辺に生きる人々を追った内容で、「霧社に残った日本人」下山一、「証言・オビンタダオの半生」花岡初子ことオビンタダオという霧社に生きた個人の人生を浮き彫りにし、「棄民の里の皇軍兵士」で川中島から出征した義勇隊、「慰霊碑の謎」では消えた慰霊碑の謎に迫りつつモーナ・ルダオの遺族についても取材している。

第二章「証言・オビンタダオの半生」は小説風になっているため、読みづらい。というのも対象(オビンタダオ)に同化しすぎている感じがするからだ。
もちろんオビンタダオさんのお話が、柳本氏をここまで原住民にのめり込ませたのだろうし、彼女の半生はドラマチックすぎると言っていいほどの内容だ。彼女の話だけで映画の2~3本は撮れそうなくらい。
ただ難しいことにあまりドラマチックに描くと、嘘っぽくなってしまう。そういう意味では『台湾先住民・山の女たちの「聖戦」』のほうが本としては成功していると言えるだろう。
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『高砂族に捧げる』鈴木明

1976年(昭和五十一年)初版のこの本にはノスタルジーとか浪漫という言葉が似合う。
戦中派の筆者による描写はどことなく贖罪の味わいがある。

発端は昭和四十九年、インドネシア・モロタイ島で元日本兵「ナカムラ」さんが発見されたニュース。台湾人、しかも高砂族の元日本兵という存在に惹かれて筆者は台湾に赴き、原住民の里を訊ねる。

1970年代の台湾の雰囲気は、今私達が知るものとは随分違うような気がする。
古い資料にある住所や名前だけを頼りに、バスを乗り継ぎ山奥の村へ行く。
そこには戦争を経験した元日本兵がたくさんいて、リアルな証言をする。

植民地化の日本を経験した原住民の人々が語るのは日本を懐かしみ、賛美する内容が多い。
私には読んでてむず痒い。
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『台湾先住民・山の女たちの「聖戦」』柳本通彦

慰安婦問題、というとやはり朝鮮半島のことを思い浮かべるが、台湾原住民にも慰安婦はいた。そんなショッキングな事実を突きつけられて、私は正直呆然とした。

この本はインタビューを書き起こした形式をとっているため、被害に遭われた方たちのつたない日本語がそのまま文字になっている。
母語の干渉か、彼女たちの言葉には特徴がある。
「同じくない」「おった」「おるでしょう」「~名(~人)」「あれ(あの人)」「馬鹿にされた(侮辱された)」「いかない(いけない)」など、山の人たちのぶっきらぼうな語りが耳元で聞こえてきそうだった。

今もお年寄りたちは日本の名前を使っているが、彼女たちには日本の名前がある。
それは私と同じ名前であったり、友人や親戚と同じ名前だ。
おそらく仮名だろうが私と同じ名前の人が騙されて連れて行かれ、暴行され、流産し、戦争が終わってからも罪悪感に苦しむ様子を読むのはつらかった。

原住民の社会は若い者は年長者に、女は男性に絶対服従だ。
とくにお年寄りの倫理観や貞操観念は、民族固有の物かそれとも当時の教育の影響かわからないが、日本の年寄りと同じで非常に厳しい。
それを考えると彼女たちが戦後いかに生きづらかったか、想像に難くない。
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『台湾統治秘史~霧社事件に至る抗日の全貌』喜安幸夫

最近霧社事件に興味を持っている。
図書館に行って本を数冊借りてきたうちの一冊だが、副題のとおり霧社事件についてだけではなくそこに至るまでの数々の抗日行動について書かれているのが興味深かった。

台湾における日本統治はなんだか美化されていて、霧社事件だけが特殊な出来事のように思っていたが、これを読むと清国から割譲される際にも袁世凱から「小乱三年大乱五年」と言われるほど「治めにくい場所」であったようだ。

大陸から離れている小島という地理的な要因もあって、清国も「化外の地」と認めていた台湾には大陸から逃げてきたならず者や山師が多かった。
彼らは国家としての抗日ではなくあくまでも個人のための抗日をしてたに過ぎないが、現在は忠士として祭られているんだそうな。

国が変われば歴史評価も変わるのね。
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『ノンフィクションの現場を歩く 台湾原住民と日本』柳本 通彦

『ノンフィクションの現場を歩く 台湾原住民と日本』柳本 通彦わずか100ページあまりのこの本を読んでいて、私は何度も激しく泣き、動揺のあまり何度も本を伏せた。

それは私自身が著者・柳本氏には遠く及ばないものの、『親近感の火花を散』らし、『彼らと、台湾と離れられなくなった』人間だからだろう。
本の中の登場人物と私が出会った人々がダブる。

私の場合親しくなったのがおじいさん達だったので、“高砂義勇隊”として出征した花蓮三勇士のくだりは、誇り高く、勇敢で実直な彼らが、日本の敗戦後どのような思いを胸に生きてきたのかを考えるだけで、感情が高ぶり涙がどっとあふれ出る。
彼らは幼い頃から日本人として生きてきた。そして終戦で突然中華民国の民にされた。

「お国(日本)のため、天皇陛下のために死ね」と言われていたのに、故郷に戻ったら漢族風の名前を与えられ「お前らは中華民国の国民だ。日本語は喋るな」と言われたときはどんな気持ちだったのだろう?
タイヤル族の詩人、ワリスノカンさんの叔父さんも復員してから5年間は山にこもり、一人で戦時と同じジャングル生活を続けていたという。
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『街道をゆく四十 台湾紀行』司馬遼太郎

いい本だとは聞いていたが、本当にいい本だった。

その前に読んだ本の文体が学者さんのソレで、あまりイマジネーションを書きたてられるものではなかったことも関係してると思うが、文章がふくよかだと感じた。
まあそこにばかり目を奪われてはいけないのだけれど。

浅学にも私は司馬氏の著作を読んだことがなかったようだ。
「ようだ」というのは、読んだつもりでいたけれど、この文体にかつて触れたことがなかったということを読みすすめながら思いだしたから。
司馬氏が亡くなった頃だと思うが、やたらとテレビで関連番組や「司馬史観」という言葉が流され、著作を読まずに理解したような気になっていたのかもしれない。

この『街道をゆく』シリーズが全てこうなのか、後でじっくり確かめていきたいと思うが、小説的なと言っていい「登場人物に寄り添う」形で展開される内容は、かの地を知らない人にも馴染みやすいだろう。

台湾が多民族国家であること、中国との微妙な関係、台湾人の精神面で礎となった日本の教育、本省人と外省人の意識の差、などなど。台湾が抱える諸問題を簡潔にまとめてあり、「入門書」といわれるのも分かる。
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『日本人は台湾で何をしたのか』鈴木 満男

タイトルが内容と合ってない。

『わたしが触れた本島人』とか『思い出の台湾―ある社会人類学者の見た台湾の近現代史』でよかったのでは?

正式名称は『日本人は台湾で何をしたのか―知られざる台湾の近現代史』であり、私としては台湾の近現代史と日本人の関わりが知りたくて手に取ったのだが、それらがでてくるのは第四章からだった。
序章はなかなか期待を持たせてくれるのだが、一章から三章までは鈴木氏が社会人類学者として歩んだ道のりや、氏の持論が展開されていて「あれ?これなんの本だっけ?」と何度も表紙を見直した(笑)。
しかも他の学者や日本の教育、東京裁判などへの批判が盛り込まれているので予備知識がないとちょっと読みづらい。
話もあちこちに飛ぶ。

私としては四章以降に出てくる昭和四十四年(1969)に初めて台湾に行き、学術調査や生活の中で触れあった人々から見た日本統治時代の思い出が、もっと詳細に書かれていれば面白かったのにと思う。
個人の視点から歴史を見るというのはミニマムに終わりかねないが、その時代を生きた人々の証言というのは、今を生きる私たちにとって歴史を血の通ったものとして感じられる絶好の教材だからである。
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香港無印美食―庶民の味ワンダーランド茶餐廰へようこそ!

愛が足りない。

茶通さん@香港電影通信+blogエントリーやもとはしさん@funkin'for HONGKONG@blogエントリーを読んで勝手に脳内期待度が高まりすぎていたせいかなぁ。
茶餐廳の奶茶を頼んだつもりが、でてきたのはベローチェのミルクティだった、みたいな。

薄い、薄味だよ。

結局この人は茶餐廳についてというより、茶餐廳を切り口として香港を語りたかったのかなと思った。
読んでて「香港に住んでるんやったらそこをもうちょっとツッこまんかいっ!!!」という所が散見された。

茶餐廳が好きで通っていれば、茶餐廳に見られる日常で不思議に思うことなんてそれなりにあるし「なぜ阿華田のつまようじ入れが多いのか」とか「誰も飲まないのになぜお茶が出てくるのか?」なんて疑問、いまさら出されても「だからその“なぜ”に答えてくれよ!」と思ってしまう。
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